電験三種 R2(2020年).機械 問9

[問題]
一次線間電圧が 66 kV ，二次線間電圧が 6.6 kV ，三次線間電圧が 3.3 kV の三相三巻線変圧器がある。
一次巻線には線間電圧 66 kV の三相交流電源が接続されている。二次巻線に力率 0.8 ， 8 000 kV⋅A の三相誘導性負荷を接続し，三次巻線に 4 800 kV⋅A の三相コンデンサを接続した。
一次電流の値 [A] として，最も近いものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。ただし，変圧器の漏れインピーダンス，励磁電流及び損失は無視できるほど小さいものとする。

　(1)　 42.0 　　(2)　 56.0 　　(3)　 70.0 　　(4)　 700.0 　　(5)　 840.0

[解説・回答]
三巻線変圧器に関する計算問題です。
まずは問題文の等価回路を書いてみます。以下図のようになります。


求められているのは図中の [A]の値です。
1次側の電圧値が分かっているので、1次側の皮相電力若しくは、有効(or 無効)電力と力率が分かれば、電流値 [A]を求めることが出来ます。
1次側の電力は、2次、3次側の電力が分かれば求めることが出来ます。

ということで、まずは2次側の電力を求めます。
問題文より2次側の電力は、力率 0.8 ， 8 000 kV⋅A の三相誘導性負荷と記載があります。
従って、2次側の有効電力は、 [kW] となります。
2次側の無効電力は、 [kvar] となります。
尚、誘導性負荷ですので、遅れ無効電力となります。

３次側の電力は、問題文より進み無効電力となり、 [kvar]です。

以上より、2次側の遅れ無効電力と3次側の進み無効電力は同じ値となりますので、お互いの遅れ、進み成分を打ち消しあい、1次側の電力は、2次側の有効電力 [kW]のみとなります。
ベクトル図にすると以下のようになります。


最後に [A]の値は、となり、 [kW]、 [kV]ですので、これを計算すると [A]となります。

答え：(2)