電験マンのブログ

電験三種の過去問の回答・解説を掲載します。

電験三種 R2(2020年).電力 問8

[問題]
定格容量 20 MV⋅A ,一次側定格電圧 77 kV ,二次側定格電圧 6.6 kV ,百分率インピーダンス 10.6 % (基準容量 20 MV⋅A )の三相変圧器がある。
三相変圧器の一次側は 77 kV の電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。三相変圧器の一次側から見た電源の百分率インピーダンスは, 1.1 % (基準容量 20 MV⋅A )である。
抵抗分及びその他の定数は無視する。三相変圧器の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値 [kA] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)  1.5
(2)  2.6
(3)  6.0
(4)  20.0
(5)  260.0

[解説・回答]
パーセントインピーダンスの値を用いて遮断器の定格遮断電流の値を求める問題です。
電検三種では良く出題される問題です。

まずは、回答として求められている遮断器の定格遮断電流の値ですが、系統事故時の短絡電流を遮断できる必要があります。
すなわち、この問題では、短絡電流値を求める必要があります。

短絡電流値 I_sと、定格電流値 I_n、パーセントインピーダンス \%Zの関係は、 \%Z = \dfrac{I}{I_s} × 100 [%]と表せます。
この式は重要な為、暗記しておく必要があります。
尚、あまり本質的ではなくテクニックの話になりますが、分子が定格電流か短絡電流か迷った際は、 \%Zは0~1の値を取り、短絡電流値は非常に大きな値となるため分子には来ず、分母に来ると考えてください。

次に、上式で短絡電流値を求めることを考えると、パーセントインピーダンス \%Zは既知であるため、定格電流値 I_nを求める必要があります。
ここで、問題文より線路を図示すると以下のようになります。



上図で線路全体のパーセントインピーダンス \%Zは、 \%Z = 1.1 + 10.6 = 11.7 [%]となります。
ここでポイントとして、問題分で与えられているパーセントインピーダンスはともに基準容量 20MV・Aでの値でした。
従って、単純に足し合わせることで全体のパーセントインピーダンスを計算できます。
仮に基準容量が異なっていたら、これらの基準を合わせる必要があります。

次に、定格電流値 I_nを求めます。
ここでのポイントとして、問題文より、遮断器は変圧器の2次側に設置されています。
つまり、最終的に求める短絡電流値 I_sと定格電流値 I_nは、2次側の値、すなわち、 6.6 [kV]での値となります。

2次側の定格電流値 I_nは、 P_n = \sqrt{3}V_nI_nとなり、
 I_n = \dfrac{20 × 10^{6}}{\sqrt{3} × 6.6 × 10^{3}} = 1749.5 [A] となります。

最後に、短絡電流値 I_sは、 I_s = \dfrac{100 × 1749.5}{11.7} = 15 [kA] となります。

遮断器の定格遮断電流値は 15[kA]を上回る必要がありますので、答えは、選択肢(4)の 20.0[kA]となります。

答え:(4)