電験マンのブログ

電験三種の過去問の回答・解説を掲載します。

電験三種 R2(2020年).理論 問5

[問題]
次に示す, A , B , C , D の四種類の電線がある。いずれの電線もその長さは 1 km である。
この四つの電線の直流抵抗値をそれぞれ R_A ,  R_B ,  R_C ,  R_Dとする。
 R_A R_{D} の大きさを比較したとき,その大きさの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし, ρ は各導体の抵抗率とし,また,各電線は等断面,等質であるとする。

  A :断面積が  9×10^{-5} m^{2} の鉄(  ρ=8.90× 10^{-8} Ω⋅ m^{2} )でできた電線
  B :断面積が  5×10^{-5} m^{2} のアルミニウム(  ρ=2.50×10^{-8} Ω⋅m^{2} )でできた電線
  C :断面積が  1×10^{-5} m^{2} の銀(  ρ=1.47×10^{-8} Ω⋅m^{2} )でできた電線
  D :断面積が  2×10^{-5} m^{2} の銅(  ρ=1.55×10^{-8} Ω⋅m^{2} )でできた電線


(1)   R_A R_C R_D R_B
(2)   R_A R_D R_C R_B
(3)   R_B R_D R_C R_A
(4)   R_C R_A R_D R_B
(5)   R_D R_C R_A R_B


[回答・解説]
物質の抵抗率ρ[Ω⋅m]と断面積A[  m^{2} ]から抵抗値[Ω]を求める問題です。
抵抗率の定義は、断面積1  m^{2}、長さ1mの導体が持つ抵抗値です。
抵抗値を求めるためには、抵抗率 x 長さ / 断面積で求めることが出来ます。

抵抗率を分子に持ってくるか分母に持ってくるか迷った場合は、以下のように単位から考えます。
抵抗[Ω]を求めるためには、抵抗率ρ[Ω⋅m] x 長さ[m] / 断面積[  m^{2} ]と計算すれば良いことが分かります。
抵抗率を分母に持ってくると単位が[Ω]になりません。
また、抵抗は電流の流れにくさを表しますので、長さが大きければ高く、断面積が大きければ小さくなるというイメージを持ち、長さは分子、断面積は分母に来ると考えましょう。

問題の回答ですが、  R_A R_{D} それぞれ抵抗値を計算します。
 R_A =  8.90× 10^{-8} × 1.0 × 10^{3} / 9 × 10^{-5} = 0.989 [Ω ]
 R_B =  2.50× 10^{-8} × 1.0 × 10^{3} / 5 × 10^{-5} = 0.5 [Ω ]
 R_C =  1.47× 10^{-8} × 1.0 × 10^{3} / 1 × 10^{-5} = 1.47 [Ω ]
 R_D =  1.55× 10^{-8} × 1.0 × 10^{3} / 2 × 10^{-5} = 0.775 [Ω ]
従って、抵抗値の大きい順に並べると、 R_C R_A R_D R_B  となります。

答え:(4)

計算する際のテクニックとして、長さ 1.0 × 10^{3} mは、共通なので計算式に入れる必要は無いです。
また、抵抗率のべき乗は各選択肢のすべてが 10^{-8} 、断面積のべき乗はすべて 10^{-5} となりますので、べき乗も各選択肢共通となり計算から省けます。
例えば R_Aの場合、8.9 / 9だけ計算すれば良いのです。
余計な計算を省いて計算ミスを無くす工夫の紹介でした。