電験マンのブログ

電験三種の過去問の回答・解説を掲載します。

電験三種 R3(2021年).電力 問2

[問題]
図で,水圧管内を水が充満して流れている。断面 A では,内径 2.2 m ,流速 3 m/s ,圧力 24 kPa である。
このとき,断面 A との落差が 30 m ,内径 2 m の断面 B における流速 [m/s] と水圧 [kPa] の最も近い値の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,重力加速度は 9.8 m/s2 ,水の密度は 1 000 kg/m3 ,円周率は 3.14 とする。





[解説・回答]

水力発電所における流体のエネルギーに関する問題です。
流体力学における連続の定理と、ベルヌーイの定理の公式を覚えておかないと解けない問題です。

流速 [m/s] と水圧 [kPa] の2つの計算が必要ですので、まずは流速 [m/s] から求めます。
流速 [m/s] を求めるには、連続の定理を用います。
連続の定理は、断面Aと断面Bを通過する単位時間当たりの流量[  m^3/s ]が等しくなるという定理です。
従ってまずは、断面Aを通過する単位時間当たりの流量 Q_A を求めます。
断面Aの断面積 S_A [  m^2 ]は、
 S_A=π×(\dfrac{2.2}{2})^2=3.8 [  m^2 ]となり、
 Q_A=3.8×3=11.4 [  m^3/s ] となります。

次に断面Bの断面積 S_B [  m^2 ]は、
 S_A=π×(\dfrac{2}{2})^2=3.14 [  m^2 ]となります。

断面Bを通過する単位時間当たりの流量 Q_Bは、  Q_Aと等しくなりますので、
断面Bの流速 v_Bは、
 V_B=\dfrac{11.4}{3.14}= 3.6 [  m/s ] となります。

次に、断面Bでの水圧を求めます。
ここでは、ベルヌーイの定理を用います。
ベルヌーイの定理は、簡単に言えば流体のエネルギー保存則となり、流体の位置エネルギー+運動エネルギー+圧力は常に一定となる、という法則です。
このように書くと簡単なのですが、公式が覚えづらく、通常は水頭を用いて表します。
位置水頭(位置エネルギー)  h、速度水頭(運動エネルギー)  \dfrac{v^2}{2g}、圧力水頭(圧力エネルギー)  \dfrac{p}{ρg}とすると、
 h+\dfrac{v^2}{2g}+\dfrac{p}{ρg} = constant となります。

水頭についても意味を理解すれば簡単ですが、以下のようにジュール単位で書いているエネルギーを mgで除して水柱の高さ(メートル単位)に直したものです。
位置エネルギー  mgh [  J ] →  h [  m ]
・運動エネルギー  \dfrac{1}{2}mv^2 [  J ] →  \dfrac{v^2}{2g} [  m ]
・圧力エネルギー  m \dfrac{p}{ρ} [  J ] →  \dfrac{p}{ρg} [  m ]

以上の式を用い、断面AとBにおけるエネルギーの総和が等しいことを利用し、断面Bでの水圧を求めます。
まず、断面Aでのエネルギーの総和は、
 h_A+\dfrac{v^2_A}{2g}+\dfrac{p_A}{ρg} = 30 + \dfrac{3^2}{2×9.8}+\dfrac{24×10^3}{1000×9.8} = 32.91 [  m ]  となります。

次に断面Bでのエネルギーの総和は、
 h_B+\dfrac{v^2_B}{2g}+\dfrac{p_B}{ρg} = 0+ \dfrac{3.6^2}{2×9.8} +\dfrac{P_B}{1000×9.8} = 0.66 + \dfrac{P_B}{1000×9.8} = 32.91 となります。
これを解くと、 P_B = 316050 [Pa] =  316 [kPa]となります。

答え:(3)