電験マンのブログ

電験三種の過去問の回答・解説を掲載します。

電験三種 R3(2021年).電力 問1

[問題]
水力発電所は (ア) を得る方法により分類すると,水路式ダム式ダム水路式があり, (イ) の利用方法により分類すると,流込み式,調整池式,貯水池式,揚水式がある。

一般的に,水路式ダム式ダム水路式に比べ (ウ) 。貯水ができないので発生電力の調整には適さない。
ダム式発電では,ダムに水を蓄えることで (イ) の調整ができるので,電力需要が大きいときにあわせて運転することができる。

河川の自然の流れをそのまま利用して発電する方式を (エ) 発電という。貯水池などを持たない水路式発電所がこれに相当する。

1 日又は数日程度の河川流量を調整できる大きさを持つ池を持ち,電力需要が小さいときにその池に蓄え,電力需要が大きいときに放流して発電する方式を (オ) 発電という。
自然の湖や人工の湖などを用いてもっと長期間の需要変動に応じて河川流量を調整・使用する方式を貯水池式発電という。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。



[解説・回答]
水力発電所の分類に関する問題です。
基本的な内容と思いますので、確実に正解したい問題です。

(ア)
選択肢より、"落差"か"流量"が入ることになります。
水路式, ダム式ダム水路式と記載がありますが、これらはダムの取水方式の違いです。
簡単に説明すると、水路式はダムを用いずに河川から取水るする方式、ダム式はダムを作り水をせき止める方式、ダム水路式はダムと水路両方を用いる方式です。
つまりここには落差が入り、水路式は河川の上流下流の落差を用いて、ダム式はせき止めた水による落差を用い、ダム水路式はその両方の落差を用います。

(イ)
ここも"落差"か"流量"が入ることになります。
流込み式,調整池式,貯水池式,揚水式とありますが、これらはタービンに流入する流量の調整方法となります。
流れ込み式は流量調整しない方式、その他3つは池を用いて流量調整する方式です。
従ってここは流量が入ります。


(ウ)
水路式ダム式ダム水路式に対するメリット若しくはデメリットが問われています。
メリットは、ダムを造らないので建設期間が短い建設費が安いことが挙げられます。
デメリットは高落差を得にくいことが挙げられます。
ここでは正解の選択肢が3つあります。

(エ)
(イ)で解説していますが、河川の自然の流れをそのまま利用して発電する方式は流れ込み式となります。

(オ)
1日又は数日程度の河川流量を調整する方式は、調整池式となります。
揚水式も河川流量を調整する方式となりますが、揚水式は河川の上流下流に2つの池を持ち、昼間に電力が余った際は下流の池から上流の池に水を移送させておき、電力不足となった際に発電する方式となります。従って、文意とあいません。
尚、貯水池式との違いは問題文の記載の通り、期間の需要変動に応じて河川流量を調整・使用する方式となります。

ここまでを纏めると、
(ア)落差、(イ)流量、(ウ)建設期間が短い or 建設費が安い or 高落差を得にくい、(エ)流れ込み式、(オ)調整池式
となります。

答え:(5)