電験マンのブログ

電験三種の過去問の回答・解説を掲載します。

電験三種 R2(2020年).理論 問17

[問題]
図のように,誘電体の種類,比誘電率,絶縁破壊電界,厚さがそれぞれ異なる三つの平行板コンデンサ①~③がある。
極板の形状と大きさは同一で,コンデンサの端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。
上側の極板に電圧 V0 [V] の直流電源を接続し,下側の極板を接地した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。



(a) 各平行板コンデンサへの印加電圧の大きさが同一のとき,極板間の電界の強さの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。



(b) 各平行板コンデンサへの印加電圧をそれぞれ徐々に上昇し,極板間の電界の強さが絶縁破壊電界に達したときの印加電圧(絶縁破壊電圧)の大きさの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。



[解説・回答]
平衡平板コンデンサの基礎知識を問う問題です。選択問題ですが、個人的には、問(18)よりもこちらの問題の方が簡単と思います。

(a)について解説します。
極板間の電界の強さを順に計算していきます。
極板間の電界 Eは、板間距離 d、板間に掛かる電圧 Vを用いると、 E = \dfrac{V}{d}となります。
電界の強さは、平行板内の物質の誘電率は関係無いことに注意が必要です。
それぞれの電界の強さは、掛かる電圧 Vを用いて、①: \dfrac{V}{4}、②: \dfrac{V}{1}、③: \dfrac{V}{0.5}となりますので、
大きい順に並べると、③>②>①となります。

答え:(5)

次に(b)について解説します。
それぞれのコンデンサが絶縁破壊電界になったさいの電圧の強さを計算します。
ここでも比誘電率は関係ないことがポイントです。
それぞれの電圧の強さは、 E = \dfrac{V}{d}より、
①: 10×4 = 40[kV]、②: 20×1 = 20[kV]、③: 50×0.5 = 25[kV]となりますので、
大きい順に並べると、①>③>②となります。

答え:(2)

誘電率とは、コンデンサの静電容量(電荷の蓄えやすさ)に影響しますが、電界の大きさには影響がありません。

* 静電容量 C[F]  = \dfrac{εA}{d}
 ε : 物質の誘電率 [F/m]
 A : 極板の面積 [  m^{2} ]
 d : 極板間の距離 [  m ]
尚、物質の誘電率 ε は、真空の誘電率 ε_0と、比誘電率(自身の誘電率が真空の誘電率の何倍かを表す値)  ε_rを用いて、 ε = ε_0 × ε_r となります。

この点を理解していれば、簡単に解ける問題となっています。